気をつけましょう!競売は安いは大間違い!安物買いの銭失いにならないように!

当社は仲介はもとより、クライアントの要請により競売入札代行や任意売却及び競売物件の仕入れにより、中古住宅のリフォームを行い再販する事業を展開しているものであります。
今般、競売コンサルティング業務等を遂行してきた経験をもとに、競売入札の問題点や注意点をレポートにさせて頂きました。

ご承知の通り、裁判所の競売物件は入札保証金二割を支払い入札をするもですが、この点だけを取り上げれば通常の不動産売買における手付金と考えることもでき、冷かしで入札を許容していない点では、手付金の性格と異にするものではないと考えます。
しかしながら、通常の不動産取引と決定的に違うのは瑕疵担保責任の存否です。
宅建業者が売主となる場合、瑕疵担保責任は最低でも2年の無過失責任期間を強制されますが裁判所の場合、瑕疵担保責任の順位は第一に債務者であり、第二に買受人であり、裁判所は瑕疵担保責任を全く負わないのであります。
第一の瑕疵担保責任者である債務者は当然に資力などある分けもなく、その責任は必然的に買受人に転嫁されます。 ですので、競売物件は市場価格より三割は安く評価されていると言われる所以でもあります。

裁判所は、事件物件を調査するに当り執行官により現況調査を行い、三点セットなる一部に現況調査報告書を作成します。 この三点セットを頼りに現地調査に赴き入札価額を決定するのが普通です。
ところが、正直に言うと私の経験上裁判所の調査した三点セットは、信頼しても救われないと言うのが率直な認識と結論であります。
裁判所の三点セットにも後日紛争になっても仕方ない旨の文言が明確に記載されています。

そこで、私の実際に経験したの実例を挙げて本文を進めていきたいと思います。

【事例1】
三筆の土地上に跨って建っている平屋の一括競売の事例で一筆が債務者の所有では無く、他人の所有であるものを調査に当った執行官のミスで一体として、包括競売になっていた事例です。 尚、隣地所有の建物が本物件に越境しているとのことでもありました。
しかしながら、後に当方で調査したところ越境も発生してはいまでんでした。
執行官も人間ですから、間違いを100%否定することはできませんが、これは執行官の基本的且つ初歩的ミスであって、登記簿を閲覧していれば当然にして判明したことです。

当地は雪国とのこともあり、境界を掘り出して確認することも至難の技であることは認めますが、余りにも初歩的ミスに呆れたものです。
話しは変わって、どうしてこのように、一筆だけが他人の土地であったかを債務者に問うたところ、後の一筆については、出世払いで払うとの約束であったそうで、その前に差押さえになり競売開始決定になったとのことであったことを聞きつけ、所有者に底地を売ってくれるよう懇願しようとしましたが、当時の約束した本人は既に亡き人となり、相続が開始していました。

そこで、相続人を探し当て底地を通常価格の二分の一(底地なので)で買おうと試みましたが、破格な値段を提示してきました。 その相続人にとっては当時の約束など知らないと言うのです。
相続は包括承継ですから、被相続人の意思をも引き継ぐものとされていますが、債務者との口約束では、面倒な裁判を起こすしかない。 結局、弱い立場の当方は言い値で底地を買う嵌めになってしまいました。
当然管轄裁判所に対して、国家賠償法に基づき訴訟を提起しようとも考えましたが、時間と動力の無駄であることは、即座に判断できました。 いわゆる、泣き寝入りです。
多大な損害であれば、別としてそこで費やすエネルギー等と比較考慮した場合、断念せざる負えなかった分けであります。

では、このような物件を入札しないようにする為にはどうしたらよいのか?
答えは簡単です。 入札者が、最新の登記簿を取り寄せて確認すればよかったのです。
しかし、これも言うが易し、行なうは難しで、現実的ではありません。 公の厳格な機関である裁判所の作成したものはたいした吟味もせず信頼してしまうからです。

このケースは、入札者は当社でしたから自己の責任に於いて処理できましたが、クライアントの依頼でこの物件を落札させて損害賠償等を提起されていたと思うとぞっとします。

【事例2】
競売閲覧時の、現地調査時点ではその建物は債務者が占有し、犬も飼われていました。
立地も良く築年数も新かったので、入札することとし最高価買受け人となり、売却許可決定が出た時点で本物件を再度視察に行ったところ、飼われていた犬も居なくなり、当時カーテンで閉め切られていた建物は既に空家となっていました。
これは明け渡し交渉等の手間が省けたと思い、しめしめと気楽に帰ってきました。
この物件は変則5差路の一角地に建っていたため、信号機があり非常に車の往来の多いところでした。 この物件の玄関の前に立って、どのようにリフォームしようと思案に暮れていたところ、信号機で止まる車中の人達は一様に、私の方を見て怪訝な顔をしているのが不自然でしたが、気にも止めず隣町である我が町に帰りました。

ところが、その二日後事務所で取引業者と何気なく会話していたらその隣町の競売物件の話になり、自殺であると聞かされたのです。 私は呆然となりました。

そう言えば現地に立っていた時、一応に怪訝な目で私を見ていたのを思い出しました。
隣町は狭い町で、瞬く間に噂が広がり隣町では公然の事実だったのですが、私に知る由はありませんでした。
幸い残金の支払いは未だに完了前であるので、売却許可決定取消の申し立ての裁判を起こすべく即座に行動を起こしました。
自殺したと言う事実は警察は知っていても教えてはくれませんし、かっと言って裁判所が立証してくれる筈もありませんから、私には自ら調査し聞きだした事実を基に訴えを提起するしか術はなかったのです。

我々は宅地建物取引業者であり、当然に瑕疵担保責任を負っているため重要事項説明時に、この心理的瑕疵を説明する義務を有し、自殺されたと言う二文字でもって不動産の価値を著しく低下させるものでありますから、最悪保証金を捨てる覚悟でいました。

もしも、隣町で起こったこの事実を知らないで残金の支払いを完了していれば、結果はどうなったのでしょう。 その瑕疵担保責任は当然に当方に引き継がれることになり、後の祭りとなったことでしょう。

話を元に戻しますが、近隣に聞き込み調査を実施したところ、様々な噂を耳にしました。妻に逃げられた夫が、それを苦に自殺した。いやいやそうじゃなくて、餓死して発見後一週間が経過していたもので、身内が来て家屋内の荷物を運び密葬に臥した等々です。

私には、自殺なのか餓死なのかを特定する術は持ち合わせていないので、取り敢えず自分で聞いたことを、聞き取り時間と証言者の名前を列記して、売却許可決定取消申立を提起しました。 私にとって不都合だったのは、結論が餓死の場合でした。
人間は死ぬのは当然で、畳の上で死んでいくのは至極自然の摂理だからです。
運悪く、裁判所の調査結果と担当医の判断は死後一週間後で死因は心筋梗塞(餓死)でした。 裁判所の決定理由では、死因は心筋梗塞と書かれていますが、癌で死んでも死因は多臓器不全等の別の疾患名になる分けですから、私に言わせれば死因は心筋梗塞ではなく餓死と言いたいのです。
裁判所の執行官室でも言われましたが、自殺ではない死因が心筋梗塞(餓死)の場合申し立てが、却下されるかもしれないと言われていました。

しかし、私はある判例を思い起こしていました。 それは、少子高齢化が社会現象となった昨今、問題となっている老人の孤独死です。 大都会では、発見後一ヶ月以上でミイラ化して発見されることは、珍しいことではありませんし、東京や大阪の大都市で発見後一週間も経っていたならば、異臭もする筈です。

この事案は、宅建業者があるマンションの賃貸契約を締結する際に孤独死は自然死として重要事項の説明をする必要はないと判断し省略した事例で、賃借人はそれを知っていたならば契約に至らなかったとして宅建業者を相手取って損害賠償を提起した事案でした。
判事した裁判所は、孤独死等異常な状態での死亡は、異臭なども伴っているもので、賃借人に取って住み心地若しくは価値の減少があるとして、その旨の重要事項の説明義務があったとして、宅建業者に対する損害賠償を命じました。

前記の判例を思い出した私は、申立が却下されても、その決定に対しては即時抗告をする考えでいました。

ある日、売却許可決定取消申立事件に対する決定が下されました。 結果、裁判所は私の申立を容認しました。

しかしながら、残金の払い込みを完了した後では後の祭りで、この事実を受け入れるしかないのです。 このように残金の支払い完了後と完了前では、天と地の差があるのです。
では、このようなケースを防止するためにはどうしたらよいのか?
売却許可決定が出た段階で、再度現地で調査し閲覧時と状況が変化していたならば、近隣に再度聞き込みを実施し、穏便に転居したのかどうなのかを確認すべきです。しかしながら、実際にそのような行動する方は少ないような気がします。

次項に、実際に私が裁判所に提起した売却許可決定取消申立書と、裁判所の決定文書を添付して、競売物件の恐さや問題点について今般のレポートの締めくくりとさせて頂きます。

最後に、裁判所の判断と言うものは、難しいものです。私はこの決定の理由を見て、ともすれば却下されていたかもしれないと考えています。
次項の決定の理由を読んで頂ければご理解できると思いますが。検視医の検視の結果、死亡推定時刻は何と入札期間の三日前だった分けですから、本来この変死の事実は物件明細書に当然に反映されていなければならない事実と見ることができ、裁判官も明解な判断ができたと推測できるからです。

従いまして、この死亡推定時刻が期間入札経過後であったのならば、違う判断が下されていたかもしれなかったと思慮されるからです。(本件は異常な病死ではなく、死因は心筋梗塞であり、自然死であるから申立の理由には合理性がない。と判事されたかもしれないからです。) しかしながら、もしそのような判断が下った場合でも、私は前記の孤独死の判例を基に即時抗告したことでしょう。

このように競売物件は、昨今の日本の経済状況を見るにつけ、増加の一途だと考えられます。
一方、裁判所に勤務する執行官の仕事の絶対量も増えることとなりその分、執行官の調査ミスも比例して、増えることを否定できません。
我が地元の裁判所の、競売物件の絶対量は確実に増加しています。
しかしながら、前は二人もいた執行官は五年程前から一人で二つの地方裁判所を掛け持っています。 法律では執行官のミスについて執行官個人を相手に訴訟できるものではなく、国を相手としなければならず国家賠償法によって手厚く保護されています。

国家賠償法一つを例に取っても、国にはプライドが付きまとい訴訟の結論が出るまで、長い歳月と費用とエネルギーが必要とされていて、正直我々のような営利を追及する者達にとって、小額なものまでを対象として、国を相手取って国家賠償責任を追求しようとする者など少数であって、そんなことにエネルギーを使うくらいなら他にエネルギーを使った方が得策と割り切って、泣き寝入りするしかないと言うのが実情であると考えます。

また、売却不許可の申し出、売却許可決定取消申し立ては民事執行法上の手続き内の問題ですから我々にも容易に対処できますが、問題は代金を納付した後に重大な瑕疵が明らかとなった場合です。 権利の瑕疵についての担保責任を追及できる可能性もありますが、この場合本来の訴訟を起こすしかなく、一般の者がこのような訴訟を起こすことは難しいと思われ、そのような事態になれば弁護士に相談するしか方法がなくなります。

大半が、裁判所の調査瑕疵が発覚するのは代金納付後なのですから、その時に弁護士に頼らずに、迅速な判断が下せるような法改正をしてもらいたいものです。(裁判所の調査ミスを原因とした事件であっても、自己責任を強いる結果となっている事実を否めないからです。)